ダイエットを助けるカラダ基礎知識
2019.03.26

メタボはただの肥満じゃない!メタボ対策「待ったなし」の理由

健康診断でおへそ周りを測る理由を知っていますか?どれだけ内臓脂肪が貯まっているかを確認し、メタボの人を見つけ出すためです。メタボは「ポッコリお腹の肥満」というイメージが強く、ただの体型の問題として捉えがちですが、メタボと指摘されたら一刻も早い対策が必要なのです。理由を分かりやすく解説します。

メタボ対策する人

「メタボリックシンドローム」という医学用語が誕生したのは20年前のことです。この新しい言葉は、誕生から10年も経たないうちに、みんなが知るようになりました(一般人の認知度96%)[1]。しかし、メタボの本当の意味まできちんと分かっているでしょうか?

メタボのことをしっかり理解しているのであれば、健康診断などでメタボを指摘されたら「このままではマズい」と焦ってメタボ対策を始めるはずです。しかし残念ながら、メタボを指摘されても「太っているだけ」と解釈してしまって、何も対策しない人は数多くいらっしゃいます。あなたもその一人なら、ぜひこの記事を読んでいってください。

どうしてメタボ対策が必要なのか

ところで「メタボリックシンドローム」という用語に落ち着くまでに、いくつか別名があったことをご存知ですか? 「死の四重奏」「シンドロームX」「マルチプルリスクファクター重積症候群」「内臓脂肪症候群」「インスリン抵抗性症候群」などです。「メタボ=肥満」と思っていた人にとっては、ドキっとするような怖めの字面もありますね。実はメタボとは、肥満だけを示すものではなく、死に至る病気になるリスクの高い状態を表す用語なのです。

メタボと肥満の違い

では、メタボと肥満の違いはなんでしょうか。

肥満とは、体格指数(BMI)が25以上の場合を指します。BMIは健康診断の結果に載っていますし、体重[kg]÷身長[m]÷身長[m]で算出することもできます。ただし、BMIが25以上でも医学的に問題がない人もいます。肥満による健康障害(のリスク)がある場合は「肥満症」と呼ばれます[2]。

一方、メタボとは、太っているだけでなく、生活習慣病もいくつか併発している状態を指します。具体的には、内臓脂肪が蓄積していて(腹囲が男性85㎝以上、女性90㎝以上;内臓脂肪面積100cm²に相当)、心血管リスク(高血糖、脂質異常、高血圧)が2つ以上ある場合を指します[3]。

メタボという用語を作った理由

どうして肥満とは別にメタボという用語を作ったのかというと、脳卒中や心筋梗塞などの血管の病気になりやすい状態だけれど、そのリスクを自らの努力で下げることができる「水際」の人を見つけ出すためです。イエローカードが出ている人を見つけて、今後レッドカードが出ないように支援することで、脳や心臓の病気で苦しむ人を減らし、健康寿命を延ばすために考案されました。

つまり、メタボは肥満よりも病気のリスクが高い状態なのです。「メタボ=肥満」と解釈して軽く考えていたなら、今日から考えを改めて、生活習慣の改善を始めてください。

病気が連鎖的につながっていく

では、メタボ対策をするとどんな良いことがあるのでしょうか。メタボの人は、内臓脂肪を減らすことで病気になるリスクを抑えられます。

内臓脂肪などのメタボリックシンドロームの成因と病気のリスクを理解しやすい例えとして、慶應義塾大学医学部の伊藤裕教授が2003年に提唱した「メタボリックドミノ」があります[4]。
ドミノは、1つ倒れると次が倒れ、どんどんそれが連鎖していきます。メタボリックドミノの場合、一番最初にあるのが「生活習慣」のドミノで、これが倒れると次に肥満(=内臓脂肪蓄積)のドミノ、そして中ほどにある「食後高血糖」「高血圧」「高脂血症(=脂質異常)」のドミノが倒れていきます。その後は糖尿病や腎症、脳血管障害、虚血性心疾患という病名のドミノにつながり、さらに透析、失明、脳卒中、心不全など、生活の質(QOL)や健康寿命を大きく変える病気のドミノが待っています。それが倒れる前に、連鎖をどこかで止めなければなりません。

先ほど紹介したメタボの定義を思い出してください。内臓脂肪が蓄積していて、心血管リスク(高血糖、脂質異常、高血圧)が2つ以上あるとメタボですから、肥満のドミノはすでに倒れてしまっていて、高血糖、脂質異常、高血圧の3つのドミノのうち2つか3つが倒れているという状態です。ドミノで例えると、メタボと呼ばれている状態が医学的にいかに問題視されているのが想像しやすいですよね。

メタボ対策のポイント

では、メタボ対策として何をすればいいのでしょうか。それは、倒れてしまったドミノを元に戻せばいいのです。必要に応じて「高血糖」「高血圧」「脂質異常」の対策・治療を行うのも重要ですが、実はその手前にある「肥満(内臓脂肪の蓄積)」が解消できれば、その先にある「高血糖」「高血圧」「脂質異常」も改善してきます。内臓脂肪を減らすには、生活習慣の乱れを改善すればいい、ということになります。

生活習慣を見直すときのポイントは、食事・運動・睡眠です。バランスの良い食事ができているか、太りやすい食習慣になっていないか、運動で汗をかく習慣があるか、デスクに座ってばかりではないか、毎日ぐっすり眠れているか……。これまでの生活習慣を一度に改善することは難しいので、取り組みやすいところから一つひとつ、少しずつ変えていきましょう。メタボ対策をしている人をサポートする食品やサプリ、健康グッズ、各種サービスなどもうまく利用してください。

また、健康診断で特定保健指導の連絡が来たら、ぜひ受けましょう。保健師や管理栄養士などのプロが生活習慣を見直すサポートをしてくれます(特定保健指導、40歳以上が対象)。

参考文献

  1. [1]杉山賢明ほか. 健康日本21(第二次)に関する国民の健康意識・認知度とその推移に関する調査研究. 日本公衆衛生雑誌 2016; 63 (8): 424-431
  2. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/63/8/63_15-097/_pdf/-char/ja
  3. [2]日本肥満学会肥満症診療ガイドライン作成委員会. 肥満症診療ガイドライン2016
  4. [3]メタボリックシンドローム診断基準検討委員会. メタボリックシンドロームの定義と診断基準. 日内会誌2005; 94: 794-809
  5. [4]伊藤 裕. Clinical Trend メタボリックドミノとは―生活習慣病の新しいとらえ方. 日本臨床 2003: 61(10); 1837-1843

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