ダイエットを助ける健康食品
2019.07.01

キトサンの効果とは?―カニ由来の食物繊維でコレステロール対策―

キトサンは主にカニの殻から分離されたキチンを加工してつくられた成分です。キトサンにはLDL-コレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)を下げてくれる効果があると言われており、トクホや機能性表示食品の関与成分にもなっています。ここではキトサンについて詳しく解説します。

監修医師

監修 管理栄養士  横川仁美

キトサンが含まれるカニ

ゆでても焼いても、お味噌汁の出汁にしても美味しいカニ。身の旨さは言わずもがな、高タンパク低カロリーでダイエッターにも嬉しい食材です。しかもカニはその殻から「キトサン」という成分を作り出す原料となり、コレステロールが高めの人向けのトクホや機能性表示食品で有効活用されているのです。

コレステロール、なかでも悪玉と呼ばれるLDL-コレステロールは、血中濃度が高い状態が続くと動脈硬化を引き起こすことがよく知られています。メタボ体型でLDL-コレステロールが高めの人は一刻も早い対策が必要です。

ここでは、キトサンのコレステロール低下効果を中心に詳しく解説します。

キトサンとは?

キトサンは食物繊維の一種で、節足動物(甲殻類や昆虫など)の外骨格や真菌類(キノコやカビなど)の細胞壁に含まれるキチンを材料としてつくられます。日本では主に紅ズワイガニの甲殻からキチンを抽出し、脱アセチル化という処理をしてキトサンを生産しています[1]。

ちなみにキチンを塩酸で処理すると、関節の軟骨を維持すると言われているグルコサミンになります。また、キチンは医療用の保護材や抗菌防臭繊維、土壌改良剤など、様々な分野で活用されています[1]。カニはただ美味しいだけでなく、人間の健康や生活に役立っているなんて、すごいですよね!

キトサンの健康によい効果は?

食物繊維の一種であるキトサンには、他の食物繊維にはない特徴があります。それは、胆汁酸(胆汁に含まれる物質)と結合するという性質です。これがキトサンのコレステロール低減作用に大きくかかわっているのです。どういうことなのか、わかりやすく解説します。

キトサンはコレステロールの吸収を邪魔する

コレステロールは脂肪の一種で、小腸から吸収されます。水と油は混ざりにくいので、小腸ではコレステロールを胆汁酸と一緒に「ミセル」という粒子に包み込んでから吸収しています。

しかし、そこにキトサンがあると、キトサンは胆汁酸と結合してしまいます。そうするとミセルがうまくつくれずに、コレステロールを吸収しにくくなります。キトサンと結合した胆汁酸も、コレステロールも吸収されることなく、便として排泄されます。

コレステロールや胆汁酸が足りなくなると…

このように、キトサンはコレステロールや胆汁酸を体外に出してしまいます。そうすると困るのは肝臓です。肝臓はコレステロールを材料にして胆汁酸をつくり出しています。キトサンの影響で、材料(コレステロール)も製品(胆汁酸)も減ってしまいましたので、肝臓はどうにか対処する必要があります。

まず、材料をかき集めるために、血中からコレステロールを取り込みます。そして、コレステロールを材料にして足りなくなった胆汁酸を作り、胆嚢(たんのう)に送って腸内に分泌します。このようにして肝臓でのコレステロール使用が増え、血中のコレステロール値が減るという仕組みです。

LDL-コレステロールが減る

なお、コレステロールにはいわゆる悪玉(LDL-コレステロール)と善玉(HDL-コレステロール)があります。LDL-コレステロールは体内にコレステロールを配って回る係で、HDL-コレステロールは不必要なコレステロールを回収する係です。

キトサンの影響により肝臓が「コレステロールが足らない」と判断した場合は、配送係であるLDL-コレステロールを主に使うことになります。そのため、キトサンを摂るとLDL-コレステロールが減ると考えられます。また全体として、総コレステロール値も下げることも期待できます。

キトサンの血清LDL-コレステロール低減効果

では、キトサンを摂ると、どのくらい血清LDL-コレステロール値が減るのでしょうか。そのことを示した臨床試験はいくつもありますが、LDL-コレステロール値が高め(159mg/dL以下)の成人を対象とした再解析の結果をご紹介します[2]。

これは、キトサン(1日当たり0.88~1.23g)を含む食品もしくは含まない偽の食品(プラセボ)を12週間にわたり飲ませた4つの研究データを使って、LDL-コレステロール値が159mg/dL以下の対象者に絞って再解析したものです(絞った理由は、160mg/dL以上の人は機能性表示食品などによる対処ではなく、医療機関で治療を受けるべきだからです)。

この結果、4つの研究のうち3つで、キトサンを飲んでいるグループでLDL-コレステロール値が低下したことがわかりました。どのくらいの効果があったかというと、飲み始めてから12週後にそれぞれ平均で3.9mg/dL(キトサン群の被験者数17人)、14.2mg/dL(31人)、12.7mg/dL(35人)ずつ低下したと報告されています。

なお、残りの1つの研究では、プラセボとは差が出なかったものの、数値としては平均13.4mg/dL(11人)下がっていました。

コレステロールの「薬」ではない

このように、キトサンはコレステロール値が高めの方や気になる方のコレステロール値を下げる効果が期待できます。キトサンを含む食品を摂ることで、「自分はコレステロールが高いから気をつけないといけない」という意識付けになり、自然とコレステロールが高い食品を控えるようになればしめたものです(コレステロール対策の食事法については『コレステロールが高い人のための食事アドバイス』をご参照ください)。

ただし、キトサンはコレステロールを下げる薬ではなく、あくまで食品です。コレステロールが既に160mg/dL以上の方や、140~159mg/dLが続くようなら、医療機関での管理や治療を受けることをおすすめします。また、多く飲めばそれだけ効くというものではありません。摂り過ぎるとお腹のはり(膨満感)が出ることがあります。パッケージに書かれている摂取目安量を守ってください。

なお、医薬品(ワルファリンや抗てんかん薬など)が処方されている場合、相互作用を起こす可能性があるので、飲み始める前に医師や薬剤師に相談してください。また、カニなど原料に対する食物アレルギーをお持ちの方は避けてください。妊娠中、授乳中の場合も避けておいた方がいいでしょう。

参考文献

  1. [1]日本キチン・キトサン学会. キチン・キトサンQ&A
  2. http://jscc.kenkyuukai.jp/special/index.asp?id=1932 (参照2019-05-24)
  3. [2]宮元彩希ほか. LDL-コレステロールが159mg/dL以下の成人男女に限定した再統計解析によるキトサン含有食品の血清コレステロール低減作用に関する検討. 応用薬理 2017; 93(3/4): 75-81

今すぐ読みたい

「ダイエットを助ける健康食品」の関連情報