運動を助ける健康食品
2019.08.01

クレアチンの効果とは?―筋トレのお供に―

「クレアチン」は筋トレでマッチョボディを目指す人々が、運動能力を向上するためのサプリ(エルゴジェニックエイド)として注目する成分です。では、ダイエットのために運動をする人にとってもクレアチンは効果があるのでしょうか。ここではクレアチンのダイエット効果について詳しく解説します。

監修医師

監修 管理栄養士・料理家  磯村優貴恵

筋トレする女性イメージ

ダイエットのための運動では、脂肪を燃焼するウォーキングやジョギングなどの有酸素運動だけでなく、筋トレなどの無酸素運動も一緒に行うと、より効率的にエネルギー消費ができるのでおすすめです。

筋トレについて調べると「クレアチン」という成分を目にすることがあるかもしれません。クレアチンは運動能力を向上するためのサプリ(エルゴジェニックエイド)として注目されている成分で、マッチョボディを目指して日々筋トレに励む人々がよく飲んでいるサプリの一つです。

ここでは、ダイエット目的で筋トレをする人にとってもクレアチンは有効なのか、調べてみました。

クレアチンとは?

クレアチンはアミノ酸の一種で、肉や魚などから摂取できますし、体内でも合成することができます。体内ではクレアチンの形ではなく、リン酸とくっついた「クレアチンリン酸」の形に肝臓で作り替えてから筋肉に運ばれ、貯蔵されます[1]。

運動をする、すなわち筋肉が収縮するときにはエネルギーを使います。体内ではエネルギーがATP(アデノシン三リン酸)という物質に保存されています(ATPは「生体エネルギーの通貨」とも呼ばれます)。このATPがADP(アデノシン二リン酸)に分解されるときにエネルギーを放出し、それを使って筋肉は収縮します。

クレアチンリン酸はATPをリサイクルする

しかし、筋肉内にATPは少ししかありません。そのため、運動時にはATPを使いつつ、新たなATPを作り出す必要があります。その方法には大きく3つありますが、そのうち最も短期間にATPを生み出す方法が「ATP-クレアチンリン酸機構(非乳酸性機構)」と呼ばれるものです。この機構では、クレアチンリン酸がもつリン酸を使って、使用済みのADPをATPにリサイクルします[2]。

簡潔に言えば、短い時間で強い筋力を必要とする場合に、足りなくなったエネルギー源を素早く補給してくれるのがクレアチンリン酸ということです。

筋トレで重量上げをするときや短距離走をするときは、ごく短い時間に最大限の筋力を発揮することが求められます。そのとき、筋肉内にクレアチンリン酸が多く貯蔵されていれば、そのぶん多くのATPをリサイクルでき、筋肉へのエネルギー供給を持続させることができると考えられます。

クレアチンリン酸にはこのような効果があるため、筋トレをする人々はクレアチンのサプリを使用しているのです。

クレアチンの効果は?

クレアチンのサプリを飲んで運動したときの効果については、多くの臨床試験が実施されています。

そこで、フランスの研究グループは網羅的に調査しピックアップした60報の研究を用いて、下肢の運動に対するクレアチンの効果を検証しました。その結果、3分未満の短い時間で行う下肢の運動(特にスクワットやレッグプレス)では、クレアチンを飲むとパフォーマンスが向上することが分かりました[3]。

では、クレアチンのダイエット効果についてはどうでしょうか。カナダの研究グループが、上記と同様に多くの臨床試験を統合して解析する方法で、中高年者がクレアチンを飲んで筋トレをした場合の効果について検証しました。その結果、全体重が平均1.00kg、除脂肪体重が平均1.33kg増え、クレアチンとの関連が認められました。一方、体脂肪が平均0.1kgだけ減りましたが、これはクレアチンの効果と言えるほどの変化ではありませんでした[4]。

なお、除脂肪体重とは、全体の体重から脂肪量を引いた体重のことです。脂肪以外の何が増えたのかというと、筋トレによる効果で増えた筋肉、もしくはクレアチンの性質である「水分保持」により増えた体内の水分である可能性があります。

激しい筋トレのお供にはいいかも

ダイエットをしている人はつい体重の数値だけに着目しがちなので、この結果を見て「体重が増えるならダメだ」と捉えてしまうかもしれません。

でも、体重が増えたといっても、脂肪が増えているのではなく、筋肉量が増えているなら、この体重の変化はむしろ「健康によい」増え方と言えます。一方、この体重増加が、クレアチンが保持する水分によるものなら、ダイエットする人にはあまり嬉しくないことでしょう。

クレアチン補充により筋肉が増えるのか、水分が増えるのか、それはトレーニング内容や個人差があるので何とも言えません。マッチョボディを目指す人ならともかく、まずは脂肪を減らしたいダイエット中の人にとっては、クレアチンはそこまでメリットのある成分ではなさそうです。

いずれにせよ、ダイエットにおける筋トレそのものの効果は確実にあります。クレアチンに頼りすぎるのではなく、まずは筋トレをきちんと「継続する」ことから始めましょう!

参考文献

  1. [1]国立医薬品食品衛生研究所.食品安全情報(化学物質)No.2/2018(2018年1月17日)
  2. http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201802ca.pdf
  3. [2]厚生労働省.クレアチンリン酸.e-ヘルスネット
  4. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-018.html
  5. [3]Lanhers C et al.Creatine Supplementation and Lower Limb Strength Performance: A Systematic Review and Meta-Analyses.Sports Med. 2015 Sep;45(9):1285-1294.
  6. [4]Devries MC et al. Creatine supplementation during resistance training in older adults-a meta-analysis. Med Sci Sports Exerc. 2014 Jun;46(6):1194-203.

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