大人のダイエットを助ける食事術
2019.07.01

やせてる人に多いと噂の「やせ菌」はどうやって増やせばいい?

腸内に多くの細菌がいることは、多くの人が知っていますよね。この腸内細菌の一部に「やせ菌」や「でぶ菌」というあだ名が付いています。その名の通り、肥満の人にはでぶ菌が多く、やせている人にはやせ菌が多いと言われています。ここでは、腸内のやせ菌を増やしてダイエットに活かす方法を解説します。

女性の腸内環境

あなたの腸内には1千兆個にも及ぶ、とんでもない量の細菌が住んでおり、あなたが食べたものの一部をエサにして生きています。どんな腸内細菌がどんな割合で腸内にいるかは人によって違いますが、やせている人と太っている人の腸内細菌の全体像(腸内細菌叢、腸内フローラ)を比較すると、ある傾向が見えてきます。このことを分かりやすく言い表したのが「やせ菌」「でぶ菌」という言葉です。

あなたの腸内細菌はどのタイプ?

胎児の腸内はほぼ無菌状態で、出産時に母親がもつ細菌を引き継ぎます。生後数日経つと腸内細菌が増えてきて、どんな細菌がどの割合になるかのベースは、離乳期ごろに決まります。その後は毎日食べているものが腸内細菌の構成に影響を与えます[1]。

腸内細菌の種類は3万にも及ぶので、「どれがやせ菌で、どれがでぶ菌だ」という風に細かく決まっているわけではありません。腸内細菌の構成は大きく3つに分類されており、それを「エンテロタイプ」といいます。

  • 1型(バクトロイデス属が優位なタイプ)⇒太りにくい
  • 2型(プレボテラ属が優位なタイプ)⇒やせやすい
  • 3型(ルミノコッカス属が優位なタイプ)⇒太りやすい

「~属」は、菌の種類を表す言葉です。腸内細菌は日々の食事によって影響を受けますから、このエンテロタイプも食習慣を反映したものになっています。それぞれ詳しく見てみましょう[1]。

1型(バクトロイデス属が優位なタイプ)の特徴

太りにくいタイプです。日本人のほとんどがこの1型です。2型と3型の中間に位置し、バランスがよいタイプと言えるでしょう。肉や魚を中心として色々な食品を用いた食習慣を反映すると言われています。バクテロイデス属の一部の細菌は、脂肪の蓄積を抑えたり、筋肉での脂肪燃焼を促進したりする作用があります(≒やせ菌)。

2型(プレボテラ属が優位なタイプ)の特徴

やせやすいタイプです。農業が盛んで食物繊維(野菜やいも類)の摂取量が多い国(東南アジアなど)に多いです。プレボテラ属は食物繊維を分解する作用が強いという特徴があります。

3型(ルミノコッカス属が優位なタイプ)の特徴

太りやすいタイプです。ルミノコッカス属は糖質の吸収とともに脂肪の蓄積を促進するという特徴があります(≒でぶ菌)。実際に、肥満の人の腸内細菌ではルミノコッカス属が多く、肥満を抑制するバクテロイデス属が少ないことが知られています。

なぜ、やせ菌が多いとやせるの?

腸内細菌にやせ菌やでぶ菌があるのが分かったのは、2006年のこと。世界的に有名な科学雑誌「nature」に掲載された論文で、肥満マウスの腸内細菌を無菌マウスに移植したら太った(逆にやせマウスの腸内細菌を移植したら太らなかった)という研究結果や、肥満の人がダイエットをするとやせている人の腸内細菌の構成に近づいたことなどが報告されて、注目されました[2]。

2013年には、肥満の人とやせている人の腸内細菌を無菌マウスに移植したところ、肥満の人から移植を受けたマウスは太り、やせている人から移植を受けたマウスはやせた、という報告が出ました。このように、腸内細菌と肥満には大きな関係があるに違いないと考えられるようになりました。

近年ではさらに研究が進み、やせ菌が食物繊維をエサにして作り出す「短鎖脂肪酸」(酢酸、酪酸、プロピオン酸など)が人の身体に働きかけ、脂肪細胞が過剰な脂肪を取り込まないようにするとともに、ノルアドレナリンの分泌を促して心拍数や体温を上げ、エネルギー消費を高めることが分かってきました[3]。

やせ菌を増やすにはどうしたらいい?

では、やせ菌を増やしてダイエットに活かすにはどうしたらいいでしょうか。

まずはやせ菌のエサとなり、短鎖脂肪酸を作り出す材料となる食物繊維を多く摂るように心がけましょう。1日2日という短期間でなく、週・月・年単位で長期に続けることが大事です。伝統的な和食は食物繊維が多いのでおすすめです。また、やせやすいエンテロタイプ2型が多い東南アジアの食生活を参考にしてもいいかもしれません。

食物繊維のなかでも、水溶性の食物繊維が特におすすめです。きのこ、大麦、ごぼう、オクラ、モロヘイヤ、海藻、納豆などを積極的に食べましょう[4]。食事から摂る食物繊維が足りないときはトクホや機能性表示食品などから補給してもいいですね(詳しくは『難消化性デキストリンの効果とは?―ダイエットに効果的な飲み方―』を参考)。

また、腸内細菌の構成は腸内の環境によっても左右されます。ヨーグルトや発酵食品などに含まれる乳酸菌を取り入れて、腸内のバランスを整えましょう。腸内細菌の力を借りながら、健康的な理想のボディを手に入れてください!

参考文献

  1. [1]安藤 朗. 新たな臓器としての腸内細菌叢. 日消誌 2015; 112: 1939-1946
  2. [2]野本康二. 栄養、代謝の視点から見る腸内フローラと健康の関係. ヘルシスト 2018; 248: 32
  3. [3]木村郁夫. 腸内細菌と宿主の肥満をつなぐ受容体. 生命誌ジャーナル 2015; 86: 107
  4. [4]木村郁夫(監). 「やせ菌」スープダイエット. 主婦の友社 2016; 6-25

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