運動を助ける健康食品
2019.05.31

BCAA(分岐鎖アミノ酸)の効果とは?―運動中の筋肉をまもる、つくる―

BCAA(分岐鎖アミノ酸)は、体内で作り出せないため食品から摂る必要のある必須アミノ酸(9種類)のうち、バリン、ロイシン、イソロイシンの3種類を指す言葉です。これらBCAAは、体内でタンパク質をつくる材料になるとともに、運動中に筋肉タンパク質が分解されるのを抑制すると言われています。ここではBCAAの効果について簡単に解説します。

監修医師

監修 管理栄養士  廣野沙織

BCAAドリンクを飲む女性イメージ

運動不足の人がたまに運動すると、翌日以降に起こる筋肉痛に悩まされることがあります。健康づくりやダイエットのためにせっかく運動を始めたのに、筋肉痛が起こると、運動を続ける気力がなくなるかもしれません。辛い筋肉痛ですが、BCAA(分岐鎖アミノ酸)には、運動後の筋肉痛を軽減する効果があると言われています。

また、基礎代謝を上げるには筋肉量を増やすことが有効です(基礎代謝については『ダイエットしやすい季節は?基礎代謝を上げるダイエットクイズ』『基礎代謝アップで痩せやすい身体をつくる「ながら筋トレ」』も参照)。運動中になるべく筋肉が分解されないよう、栄養をしっかり摂っておくことが大事です。このような場面でもBCAAは活用できそうです。ここではBCAAの効果について分かりやすく解説します。

BCAAとは?

BCAAは分岐鎖アミノ酸(Branched Chain Amino Acid)の略称です。分枝鎖アミノ酸とも呼ばれることもあります。このBCAAが筋肉にどう作用するのかを理解するには、まずアミノ酸やタンパク質(プロテイン)の働きについて知っておく必要があります。順を追ってみていきましょう。

アミノ酸の働き(1)筋肉を作る

運動する場面において、アミノ酸には大きく2つの働きがあります。1つは「筋肉を作ること」で、もう1つは「エネルギー源となること」です。

筋肉は主にタンパク質でできていることはご存知かと思いますが、そのタンパク質はアミノ酸がいくつもつながり合うことでできています。肉や魚、豆など食品に含まれるタンパク質は、消化の過程でアミノ酸に分解され吸収されています。つまりアミノ酸は体内に吸収された後、タンパク質や筋肉を作る大事な材料となります。

アミノ酸の働き(2)エネルギー源となる

人間が運動するにはエネルギーが必要です。エネルギー源となる栄養素は、糖質、脂質、タンパク質です(いわゆる三大栄養素)。基本的に糖質や脂質がメインのエネルギー源となりますが、タンパク質もエネルギーとして使うことができます。

体内にすぐに使えるエネルギー源(糖質)が不足している場合は、筋肉のタンパク質を分解してアミノ酸にし、それをエネルギー源として使います。すなわち、筋肉量が減ってしまうのです。栄養が足りない状態で運動したときには、こういった状況になります。

BCAAの働き

体内でこのような働きをもつアミノ酸は20種類あります。そのうち9種類は、体内で作り出せないため食品から摂る必要のある「必須アミノ酸」です。さらにその中でも、枝分かれした構造になっている3種類のアミノ酸「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」がBCAAと呼ばれます。

BCAAも他のアミノ酸と同様に、筋肉を作ったり、エネルギー源となったりします。ただしBCAAには、これ以外にもタンパク質や糖質の代謝を調節するという作用があることが分かっています。なかでもロイシンは筋肉のタンパク質の分解を抑制し、筋肉合成を促進する働きがあると言われています[1]。

BCAAの効果とは?

BCAAが筋肉の分解を抑制し、合成を促進するのであれば、運動による筋肉の損傷(≒筋肉痛)の軽減に効果があるのではないかと考えられます。そのことを実証した臨床試験の一つを見てみましょう。

運動習慣のない健康な女性16人を対象に、運動15分前にBCAA(5g)を摂取させてスクワット運動をしてもらった上で、筋肉痛の痛みの程度を調べた試験があります。この結果、BCAAを摂った群では、そうではない群と比較して運動2日目から統計学的に有意に筋肉痛の程度が軽くなったと報告されています[1]。

BCAAにはこのほかにも、

  • 運動による疲労感を軽減させる
  • 食欲を改善する、体脂肪を減少させる
  • 加齢によって衰えた筋肉を作り、歩行能力を改善する

といった効果が期待されています。しかし、これらの効果を示す科学的な証拠(エビデンス)はまだ十分ではないようです。

通常、血液中と筋肉中のBCAA濃度はあまり高くありませんが、BCAAのサプリを摂ると一時的にこの濃度が高まることが分かっています。このような状態のときにBCAAが上記のような効果を発揮するのではないかと考えられています[1]。

BCAAを活用する際のポイント

普段から運動していない人にとって、身体を動かすのはおっくうなものです。でも、健康づくりやダイエットのためには運動が必須なのは、頭では分かっていますよね。せっかくやる気になったのに、筋肉痛のせいで運動を続けられないのは非常に残念なことです。そのやる気を保つために、BCAAを取り入れるのは一つの方法でしょう。

ただし、「サプリの形でBCAAを補充しないといけない」ということではありません。そもそも、普通の食事を摂っていればBCAAが不足することはあまりないのです。食事に含まれるタンパク質の2割はBCAAともいわれているので、運動前後にタンパク質を十分に摂るようにすれば良いでしょう。また、せっかく作られた筋肉がエネルギー源として分解されないように、糖質も補給することが大切です。

筋肉痛対策には、運動前後にしっかりとストレッチをして、筋肉をほぐしてから行うことも重要です。爽やかな汗をかいて、健康的に理想の体型を目指していきましょう。

参考文献

  1. [1]下村吉治. 分岐鎖アミノ酸代謝の調節機構. 日本栄養・食糧学会誌 2012; 65(3): 97-103

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